屋上という場所は、不思議だ。空にいちばん近いのに、どこか世界から切り離されている。この物語は、そんな境界線の上で起きた、些細でしかし後戻りできない瞬間を描いている。
真面目で知られる委員長な女子校生の誰にも見せない一面に偶然触れてしまった、その日の午後からすべては始まった。
エスカーブのやわらかな屋上と宮園

タイトルは「やわらかな屋上と宮園」。サークル名はエスカーブ。
清楚で真面目な女の子が、ほんのきっかけで別の表情を見せる瞬間に弱い人へ。ギャップと空気感を味わいたい君に、静かに刺さる一冊。
委員長という仮面の下で静かにほどけていくもの
宮園莉奈は、学級委員長という役割をきちんと演じる女の子だ。言葉遣いも態度も完璧で、クラスの秩序を守る存在、少なくとも表向きは。けれど屋上という柔らかな隔離空間で、彼女はその仮面を一瞬だけ降ろす。
エスカーブ作品らしいのは、行為そのものよりも「受け入れてしまう心の動き」を執拗に描く点だ。軽い冗談、曖昧な沈黙、断ち切れない距離感。それらが積み重なり、真面目さと衝動のあいだにひびが入っていく。
ブレザーに隠された静と熱のコントラスト。清潔さと背徳が同時に存在する、その危ういバランスこそが、本作最大の魅力だろう。



