夏という季節には、ときどき人の心をそっと変えてしまう力がある。陸上部に所属する少女が、自分では気づかなかった視線の存在に触れ、ゆっくりと世界の色が変わっていく。
これはそんな揺らぎを丁寧に描いた物語だ。
さゆうみぎの夏の染まりかた

タイトルは「夏の染まりかた」。サークル名はさゆうみぎ。
自分でも気づかない心の変化に、そっと触れてみたい君へ。夏の光にゆっくり染まっていく少女の物語は、きっと君の中の忘れていた感覚を静かに呼び起こす。
心の境界線のにじみかた
主人公は、毎日のようにトラックを走り続けるごく普通の陸上部の少女。ただある日、ふとした瞬間に気づく。自分のユニフォームが思わぬ意味を持って眺められていることに。
その気づきは最初、軽い違和感のように胸の奥に沈む。だが、意識というのは一度芽を出すと、まるで夏草のように静かに広がっていく。彼女の中で世界が、風の向きが、そして自分自身の輪郭さえも少しずつ変わっていく。
知らなかったはずの感覚が次第に形を持ち、やがて心を染めていく。さゆうみぎならではの繊細な筆致が、思春期の揺れる内面をみずみずしく描き出す。
その変化の軌跡を追うたび、読者もまた少年少女の夏の匂いを思い出してしまう。



