初めての特別な時間は、観覧車の中だった。高く静かで、逃げ場のない空間。そこで交わした想いは、終わりではなく始まりだったのかもしれない。
Hamaoのマーブルは、よく知っているはずの相手が、ふいに遠く感じられる瞬間の心拍を、丁寧にすくい取った物語だ。
Hamaoのマーブル
タイトルは「マーブル」。サークル名はHamao。
恋の始まりより、その一歩先の空気が好きな人へ。幼なじみの余裕に心が揺れる瞬間を味わいたい夜に。

触れなくても伝わる距離の物語
来奈は幼なじみで、昔から感情を表に出さない。彼女の余裕は、ひなたの胸に小さなざらつきを残す。その違和感を確かめるように、二人きりの時間が用意される。
出来事そのものより、行間に漂う緊張感だ。互いを知りすぎているからこそ生まれる、新しいときめき。白と黒が混ざり合うように、感情が曖昧な色へ変わっていく。
セーラー服の女子校生が持っている切実な渇望
この作品は、単なる性の記録ではない。慣れたふりという、ある種の嘘を演じる彼女と、その嘘を見抜こうと試される彼の間に流れる、身近な恋愛のきらめきを描いている。
ふたりの夜は、一度きりでは完結しない。そこには、気まずさと余韻という名の、複雑なコードが残される。そしてそのコードに引かれるように、彼らはもう一度抱き合う二回戦へ向かう。来奈が静かに吐き出す「もっとドキドキさせて」という言葉。
それは彼女の等身大の切実な渇望であり、同時に、僕らの日常を侵食する妖しさを帯びている。その声は、読者である僕の耳にも届いてしまいそうな、リアルな熱を持っていた。
その言葉の持続こそが、僕の肉体への静かなる命令となる。だから、僕もまた己の手で慰めるという、孤独な連帯を繰り返すのだ。



