幼い頃、僕たちはもっと単純な言葉で繋がっていた。アキにとって貴弘は、ただのかわいい年下の男の子であり、彼女は彼を気ままに可愛がっていた。けれど時間は残酷なまでに正確に流れる。
アキの身体は華奢で小柄なまま時を止めたようであるのに対し、貴弘はすっかり背を伸ばし、声を変え、かつての親密さを拒むように距離を置くようになった。
そんな二人が訪れた温泉旅館。課題に追われる彼の邪魔をしまいと、アキがうたた寝から目覚めたとき、そこには彼女の肌に触れようと指を伸ばす、切実な形相の貴弘がいた。
すずしものいぬのきもち

タイトルは「いぬのきもち」。サークル名はすずしも。
未熟な輪郭への渇望、旅館の夜に溶け出す忠誠と情欲
「してほしいのばればれなんだから。素直になった方が恥ずかしくないよ?」
問い詰められた貴弘から漏れ出たのは、アキのような未熟で小柄な身体に意地悪をされ、それに反応してしまうという、歪んだ、けれどあまりにも純粋な性癖の告白だった。かつてアキが彼を「犬」のように可愛がっていたその日々こそが、彼の性的な目覚めを決定づけていたのだ。
原因が自分にあると知ったアキの心に、戸惑いと共に、妙な優越感と熱が混ざり合う。温泉の湿り気を帯びた空気の中で、二人の関係は「姉と弟」から「女と男」へと、音を立てて書き換えられていく。
自分よりずっと大きくなった彼の熱を、その小さな口で、あるいは貧乳な胸の合間で受け止めるアキ。フェラで彼を翻弄するたび、貴弘はかつての「いぬ」のように、けれどオスとしての本能を剥き出しにして、アキという存在を求め、貪る。
すずしもが描く、幼馴染という近すぎる距離感が、温泉の魔力によって濃厚な官能へと昇華される、一夜の秘密の記録。



